2010年11月1日月曜日

昭和19年の会計記録から(戦死者の町葬)

 前年度繰越金104円49銭から始まります。

 前年まで「区費」と言っていたものが、「部落費」となりました。1戸当たり月額70銭は変わりませんが、前年より少し世帯数が減って120戸分が、1月、2月に入っています。この年は、多くても123戸分しか部落費は集まっていません。16年12月に始まった大東亜戦争が地方にも影響が出て来ていたのではないでしょうか。

 部落費の使途で一番回数が多いのは役員会などの飲み会です。

   2月 田、山林調査の時役場員の酒代 11円50銭

   3月 部落会長役員引き継ぎ酒代 42円05銭

   3月 新旧評議員会 焼酎1升 3円50銭

   4月 金比羅様お神酒他  44円30銭

   4月 割宅米の時酒1升 3円45銭

   4月 国民貯蓄割り当ての時 18円97銭

   5月 婦人会総会の時の酒代 15円

   7月 村祈祷の時酒肴、他 37円75銭

   9月 隣保班長会 焼酎肴代 7円40銭

   9月 金比羅神社お神酒 15円

   9月 観音様お神酒 7円65銭

  11月 丑供養様お神酒 5円

  12月 妙見神社祭典お神酒 10円

  12月 年末決算 酒2升 10円60銭

 回数は多いと見るべきでしょうか、以前は「酒」だったのに「焼酎」が良く出るようになりました。お年寄りの話では、酒は配給でそうは手に入らなかったので、朝鮮さんが作っていた焼酎をヤミで買っていたのかも知れないとのことでした。


 3月と4月の間に赤線が引かれ4月から19年度と欄外に書かれています。会計年度を4月ー3月とする動きがあったのかもしれませんが、やはり12月で締めていて変わりはありません。

 6月に小川魁君餞別、春本寅市君餞別、横田正雄・永石君餞別、森田喜一氏養子出征餞別と5人に各10円の餞別が記入されて、餞別及び香典は雑費出入簿に記入する為消すと書かれて斜線で消されています。このうち小川さんと森田さんは戦死されました。このひと月だけで5人出征して2人が戦死されています。

 7月に春本丈助さんの戦死が報じられています。これに伴う支出が詳しく記録されています。特大の金蓮一対及び2人分旅費 19円80銭、供え物瓜 1貫500匁 4円50銭、戦死時大工手洗酒 焼酎1升 5円、以上は部落費から出していますが、お葬式の際の祭壇作りには町役場から大工の手間賃10円が部落に渡されて2人の大工さんに5円づつ渡されています。春本さんのお葬式は佐々町葬だったようです。場所は口石小学校の校庭で行われました。
   上の写真は春本丈助さんのお墓です。昭和19年5月23日 ニューブリテン島ラバウルにて戦死 33歳 戒名は英徳院孝菴正忠居士とあります。

 電燈料 8円40銭 が年度末に払われています。公会堂の電燈代が年間この金額だったのでしょう。電気代の記録はこれが最初です。はじめの頃は、年払いですが、後からは毎月支払うようになり、金額もだんだん上がっていきます。

★ 部落費の支払い金額で最も多いのが役員報酬です。前回の19年の議事録の記録と少し違うところがありますから、全部書きます。  会長 300円、 会長代理兼配給係 130円、貯蓄係 30円、会計給 70円、隣保班長8名分 240円。議事録にない「貯蓄係」と「会計係」が追加されています。会長と班長に関しては議事録と変わりはありません。 

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